ウイスキーを知る / 8 / 8

品評会と評価 — ウイスキーはどう評価されるのか

ボトルに貼られた金メダルのシール。あれは何を意味しているのでしょうか。ウイスキーの評価にはいくつかの仕組みがあり、それぞれ見ているものが違います。

国際的なコンペティション

酒類の国際的な品評会には歴史のあるものがいくつもあります。専門の審査員がブラインド — 銘柄を伏せた状態 — で試飲し、点数をつけ、その点数帯に応じて金・銀・銅などのメダルが与えられる、というのが一般的な形です。

棚でよく見かけるシールの出どころとしては、次のあたりが代表的です。

名前が似ていて紛らわしいのですが、審査の方式も、メダルの重みも同じではありません。カテゴリー分けの細かさ、審査員の顔ぶれ、出品料の水準がそれぞれ違うため、「金賞受賞」の一言だけでは何も分からない、というのが正直なところです。

ここで押さえておきたいのは、多くのコンペが絶対評価だということです。「出品作のなかで最も良かった1本」を選ぶのではなく、「一定の水準を超えたものすべてに金」を出す方式が広く採られています。だから金メダルは珍しくありません。同じ年に何十本もの金メダルが生まれます。

そのうえで、金の中からさらに選ばれる上位の賞(トロフィーやベスト・イン・ショウといった呼び名)があり、こちらは本当に少数です。メダルを読むときは、どの賞なのかを見る必要があります。

ブラインドの限界と価値

ブラインドテイスティングは公平さのための仕組みですが、万能ではありません。数十種を続けて試飲すれば感覚は鈍りますし、強い個性の酒は短時間の試飲で有利になりやすいという指摘もあります。長い時間をかけて向き合ったときに真価を発揮するタイプの酒は、こうした場では不利かもしれません。

それでも品評会に価値があるのは、銘柄の知名度や価格を切り離して中身だけを見る機会だからです。小さな造り手が実力で名前を知られる道でもあります。

評価は売上に効く

受賞は、そのまま販路になります。取り扱いを決める店やインポーターにとって、第三者の評価は判断材料になりますし、棚の前の消費者にとっても手がかりになります。受賞を機に定番の取り扱いが決まる、という話は珍しくありません。

逆に、一度築いた評価を保ち続けるのも仕事のうちです。前年に受賞した銘柄が翌年に出品されなければ、市場は「何かあったのか」と受け取ります。評価は積み上げるだけでなく、維持するものでもあります。

ゲームではこうなっている

『蒸溜所の帳簿』には、毎年決まった日に開かれる三つの品評会があります(この世界の架空のコンペです)。技術レベル5で出品できるようになります。

受賞の条件は熟成年数と技術力で決まります。

条件
銅賞出品すれば確定
銀賞熟成12年以上
金賞熟成20年以上 + 技術Lv20
優勝熟成30年以上 + 技術Lv30

絶対評価にしたのは、現実のコンペの仕組みに寄せたためです。他のプレイヤーとの相対順位ではなく、自分の酒が水準を超えたかどうかで決まります。

タイトル防衛も入れました。銀賞以上を獲った品評会に翌年出品しないと、獲得した上限そのものは下がらないものの、名声(営業力・ブランド)が受賞分だけ下がります。一度獲って終わりにできない、という現実の緊張感を持ち込んだ仕掛けです。出品には在庫が要るので、「防衛のために在庫を残しておく」という計画が必要になります。

これとは別に、シングルカスクだけで競う常設のランキングがあります。こちらは世界中のプレイヤーが対象で、内部スコアは非公開です。少人数のときでも水準に達しない酒が優勝しないよう、順位とスコアの両方で階級を決める形にしました。

関連: 熟成のしくみ銘柄の種類三大品評会シングルカスク

この記事について

ウイスキー経営シミュレーション『蒸溜所の帳簿』を作っている人間が書いています。 運営するKF-Works株式会社は秩父で蜂蜜酒(ミード)の醸造所を営み、ウイスキーの輸入・販売も行う酒類の会社ですが、 ウイスキー蒸溜所の現場出身ではありません。ゲームの数値を決めるために調べたことを、調べた順に書いています。

そのぶん、多くの入門記事とは書き方が違います。「熟成には時間がかかる」で終わらせず、 何年でどうなるのかを数字で置き、現実と食い違う部分は食い違うと明記します。 ゲームの都合で現実と逆にしてある箇所(樽の値段など)は、そのつど本文で断っています。

記述の誤りを見つけられた場合は kudo@kf-works.co.jp までお知らせください。確認して直します。

この記事で書いた仕組みは、『蒸溜所の帳簿』のなかで実際に数字として動いています。無料・登録不要で、ブラウザだけで遊べます。